東京メトロの「退職動画」に学ぶ、共感を呼ぶドキュメンタリーの極意

今回は番外篇。採用動画ならぬ「退職動画」のご紹介です。

 

まじめに丁寧に作り込まれた、まじめで丁寧な人の記録。

東京メトロがサントリー「BOSS」の協力を得て制作したサプライズ動画。3月で定年退職する秋葉原駅の駅長さんへの労いとして、同社の後輩たちが半年前から準備を進めていたとか。その最後の一日を、ドキュメンタリーとして追いかけています。
三脚や照明はあえて使用せず、撮影機材もおそらく小型の手持ちカメラを使ったのでしょう、カメラワークをわざと不安定にすることで、自分の目で見ているようなリアリティが高まっています。これ、私の大好きなやつです。手ブレ愛好家なので。
音響効果も丁寧で、「地下鉄の音」がとても魅力的。音楽のセレクトも技ありです。この曲、日本語では「線路は続くよどこまでも」ですが、原曲は「I’ve Been Working on the Railroad」(訳:俺はずっと鉄道で働いて来た)ってタイトルなので、ちゃんと内容ともリンクした仕掛けになっているんですね。
そして何より、この石山さんのお人柄が最高!!どんな名俳優でも演じられない、万感の表情。ゆっくりと深々と頭を下げるシルエット、これがまた顔のアップとかじゃなく後ろ姿なのがグッと来ます。
「通勤中に見てウルっときた」「車内で見かける度に泣く」「俺も仕事がんばろうと思った」など、ネット上の評判も上々。YouTubeや特設サイトでも発表されましたが、東京メトロ主要駅のデジタルサイネージで放映されたダイジェスト版が、特に大きな反響へとつながったようです。
数限りない名作CMを手がけて来たサントリーの手腕はさすが…とまとめたくなるところですが、ここでもう一歩先まで踏み込んでみましょう。

 

クサくないのは何故?ドキュメンタリーは何を描くのか

「ベテラン駅員の定年退職」などという、どうやってもベタの極みみたいなテーマにも関わらず、ほとんどクサさを感じさせないのは一体何故なのか?
そのカギは、「デジタルサイネージ」というメディアです。
映像の導入部、石山区長がこれまでの年月を振り返るシーンで使われているのは、いまや目にすることもない紙焼きのモノクロ写真。一方、最後に若い後輩たちから贈られたメッセージは、フルハイビジョンでスマホにも対応した縦型のデジタルサイネージに写し出されます。さらに、そんな物語を描いた動画を、通勤中のデジタルサイネージで見る…という入れ子の構造。
この、新旧両極のメディアを駆使した鮮やかなコントラストが、「定年退職」という極めて個人的な体験を、誰もが共有可能なイメージに拡張させているのです。
ああ、この人が働き始めた頃には、スマホもインターネットもサイネージもなかったんだなぁ。こんな変化は想像すらしていなかっただろうなぁ。これからも変化してゆくんだろうなぁ。今見ているこの駅の風景、自分が60歳になる頃にはどう変わっているのかなぁ。なんていう風に。
この作品は、ある人物が働いた足あとであるとともに、2017年という時代の記録でもあるのです。
いやぁ、ドキュメンタリーって、本当にすばらしいものですね!!!
それではまた次回をお楽しみに、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!

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